通常学級における特別支援の必要な子どもの理解と効果的な支援の方法

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発達障害児がLD児になる理由

発達諸具合については昭和40年頃には自閉症という呼び名のみが用いられ、症状としては重い状態を示していた。
その後、症状としては軽度の自閉症が多く現れて、研究者は色々の名前を用いるようになった。自閉症様、自閉傾向児、広汎性発達障害、高機能自閉症、アスペルガー型、非定形自閉症、発達障害スペクトラム、自閉症スペクトラムなどである。
そして、特別支援学級、学校への入学でなく、言葉も増え、会話も健常児に近い子どもも多くなっている。
これらの一群の子どもたちは重い自閉症の子どもの中核症状である共感的理解、感情交流にも軽重の差はあるが、すべての子どもに見られている。そして、これも軽重の差はあるが特異興味やこだわりを持ち、ものごとにたいしての好き嫌いが強く見られ、知性にしても、好きなものは経験を深めて能力も高まるが、嫌い物は、拒否したり、熱心には取り組まない。これが、能力の高低差を大きくしている。

発達障害児の好き嫌いの強さが学習障害(LD)をもたらしている

学習障害は発達障害とは別の障害という考えを持つ研究者もいるが、好きな行動には多くの時間を費やし、例えば、列車に特異興味を示す子は多いが、多くは名前を覚え、識別する能力の高さはすばらしいものがある。
数学に興味をもち、月日や曜日を覚え、こちらで月歩を言うと、すぐに曜日を言う子もいる。猿に興味を持ち、多くの猿の名前を覚え、いつもその本を持ち歩く子もいるなどである。
幼児期の生活に強い偏りがみられ、新しい経験の欲求も弱い子どもが多く、興味・経験が固定しているために、小学校入学後の学習を支える前経験が欠落している子どもが多い。これが学習障害をもたらし、指導の困難さをもたらしているわけである。

教育新聞掲載文責 NPO法人教育研究所所員・さいたま市教育相談センター所長 金子保

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