不登校をださない学校体制づくり

- 不登校引きこもり Q&A 教育新聞連載 No.10 -

 中学校の生徒指導主事です。不登校を出さない学校の体制づくりをしたいと考えています。現在、学校には数名の不登校の生徒がいます。非行や暴力、不登校、いじめなどの問題行動を起こしにくい学校にするには、どのような方針で、どのようなことからはじめたらよいのでしょうか。

 生徒指導は問題が起き、対応することは当然のことですが、その前に問題行動を起こさない、児童生徒指導体制作りが学校の最も大切な役割とも言えます。

(1) 生徒指導の方針、基準の明確化や具体化

 例えば「どのように児童生徒を育てるか」といった学校教育目標を立て、すべての教職員が共通理解・実践を行う必要があります。次に、生徒指導の方針、基準の明確化や具体的対応に、一貫性を持たせなければなりません。一貫性が見られないと児童生徒は指導に不満に感じ、信頼関係が崩れ、事態の更なる悪化を招きます。

 生徒指導の方針や基準は、学校も社会の一部であり、なおかつ、将来においては児童生徒の自己実現を目指し、社会において有用な構成員となる市民を育てる意味からも、次のようなことを柱に据え考えて行く必要があります。

・暴力行為、いじめ等、反社会的行為は断じて許さない。

・自分の責任義務を果たすことは当然のこと、もし、困っている仲間がいたら協力を惜しまない。

・社会生活上のルールを守り、他人に迷惑をかけない。

・あいさつは生活の基本である。

・約束ごとは必ず守る。

・人だけでなく、故郷や地域、風土、伝統等にも、感謝の気持ちを常に持ち続ける。

・公私の区別を明確にし、授業中の態度はきちっとする。

(2) 具体的に生徒指導を行うには

 学校長、副校長、教頭、などの指導の下に、生徒指導主事をコーデイネーターとするマネージメントが必要です。それによって、学級担任、学年主任、養護教諭スクールカウンセラー等全ての教諭及び職員が一致団結し、年齢、経験、個性、体力等を理解し合い、信頼関係を構築し、児童生徒の指導にあたらなければなりません。

 児童生徒との信頼関係を下に、厳しい指導をする教員やじっくりと話し、粘り強く指導する教員などチームワーのよる取組が可能になります。

(3) 児童生徒だけの信頼関係に留まらず、保護者・地域の人々とも

 信頼関係の源泉は人間関係です。学校は地域に開かれた安全な学校でなければなりません。学校が取組んでいる姿勢を明確に、地域の人に理解してもらう必要があります。そのためにはあらゆる機会を通じ、広報し、交流して行く必要があります。

(4) 発達段階に応じた指導を

 児童生徒の発達に応じた指導が大切です。また年齢に捉われず、児童生徒の性格やLD(学習障害)・ADHD(注意欠陥多動性障害)・高機能自閉症等の障害を踏まえた個々の児童生徒に応じた指導が必要です。

(5) 問題行動発生時、迅速かつ毅然とした対応を

 問題が発生したら、関係者に対して真摯な気持ちで丁寧な聞き取りを行い。問題点を客観的かつ中立な立場で具体的に整理し、その背景を考え、的確な指導援助の方向性を明確に下す必要があります。そして、児童生徒等への周知及び説明を行う必要があります。

平成23年4月 教育新聞掲載 文責 牟田武生