不登校-その時、親はどう関わるか
IV. ひきこもりへの対応
ひきこもりは自我の崩壊を守ること、混乱した情緒を安定させるためには必要なことです。しかし、3年以上ひきこもりが継続すると、私どもの調査でも学校や社会に復帰できない人が半数を越え、 57,4%にも上ることがわかってきました。ひきこもりは本人にとっては必要なことですが、長くなればなるほど学校や社会への適応が難しくなることも事実です。そのためには、本人の状態に合わせた適切な対応を心がけ、あまり長くならないような対応が望ましいのです。そのために、最も大切なことをこれからお話しましょう。
ひきこもると心理面では陰性感情が強くなり、疑心暗鬼の感情が強くなっていきます。同時に自分自身のプライドを守るために、自分はやろうと思えば、何でも出来るという自己万能感が強くなります。そして、自分だけの思い込みの世界に入っていきます。よく親の方から「思い込みが激しい」「こだわりが強く人を受け入れない」等と、いうお話をお聞きします。まさにこの世界なのです。自分だけの思い込みの世界は全ての外からの刺激を遮断し、揺さぶられずに心を安定させることによって、自我の崩壊を守り、もう一度自分を作り直すための行為とも言えます。
そして、少し休むことによってストレスが減少すると身体症状が改善し、心にちょっとだけ落ち着きを取り戻すことができます。そこで、初めて学校に行っていた時に、何で皆と感覚にズレがあったのか「みんなが体育祭のクラス対抗リレーの時、盛り上っているのに、自分はさめているのか。一時が万事そうだった。自分はどこかおかしいのではないか」というような漠然とした不安が生まれてきます。「在りのままの自分で居られたら、良いのに周りはそうはさせてくれない」「仕方がなく、周りに合わせようと自分で演技して学校で過ごす。本当の自分でないから、すごく気疲れする。ストレスが溜まる」「どうしたら良いのだろう」と思っているうちに自然に母への退行が始まります。