不登校-その時、親はどう関わるか

III. ひきこもり生活の始まり

対人不安が強くなると不安感と緊張感が強くなり、ひきこもりの生活が始まります。学校生活を送っていた時から、何となく周りの人達の雰囲気に入っていけなくなったり、クラスの雰囲気に、何となく違和感を感じるが異質な人と思われると、排除されたり、いじめを受けたりするので、周りの人と同化しようと、周りに気を使い周りの人にあわせようとします。しかし、本来の自分ではなく演じている自分なので神経が非常に疲れる。つまり、ストレスを溜め込むわけなのです。これを発散できる人はひきこもりタイプの不登校にはならないのですけれど、ほとんどの人は限界までストレスを溜め込み身体症状として、頭痛・腹痛・7 度5分程度の発熱・下痢・嘔吐を訴え、午前中、身体の具合が悪くなり、学校に行ったら、もっと状態が悪くなり、みんなの前で失敗をするに違いない。その為に、大切な数少ない友達を失ったらどうしようかと苦しみ、学校に行くのが怖くなり行けなくなります。

ですから、このようなタイプの不登校の子ども達は登校刺激を行なっても、落ち込んでいくばかりであまり効果が上がりらないばかりか、時には親子関係の悪化を招き、家庭内暴力を引き起こす原因にもなります。

しかし、ひきこもりを伴う不登校の子どもに対して、どうしても、初期の段階で登校刺激を行なわなければならない時は次のことを必ず守ってください。

  • 両親二人で行なわず、父親が登校刺激を行なう場合、母親は子どもの気持ちを受け入れる対応を心がけましょう。
  • 登校刺激は身体症状が出ているときは行なわないようにしましょう。
  • 登校刺激を行なうときは話を明確にし、短時間に、子どもの表情や変化を見ながら行ないましょう。
  • 繰り返し何度も行なうと親子関係の悪化を招くのでやめましょう。
  • 登校刺激を行なった後、子どもが「辛い」「苦しい」「どうにもならないような弱音」「愚痴」「ぼやき」を言い出したら充分に聞き入れてください。そこには必ず本音が入っていますので、解決の糸口を見つけることが出来るかもしれません

以上のことは学校の先生が登校刺激を行なう時も同じです。

不登校が始まって直ぐに登校刺激を入れることは意味がありますが、ストレスをとるために副交感神経が働きだし、1日に10時間以上寝ている長時間睡眠がおき、昼夜逆転の生活が始まった時や母親に対して、年齢不相応に甘えだす退行がおき出した時は登校刺激を絶対に控えましょう。

長時間睡眠ではストレスの発散を行い。退行は情緒を安定させるために行う生理的な自然な行いです。それを理解せずに、継続的な登校刺激を行なうと状態の悪化を招き、神経症や自律神経失調の原因になります。また、ひきこもりの長期化を招いてしまうこともあるので十分に注意しましょう。