不登校-その時、親はどう関わるか
II. それでは次に不登校の大まかな原因についてお話しましょう
文科省の発表のデータを見ますと、不登校になった直接のきっかけは学校生活に起因が36.2%です。学校生活に起因とは友人関係・教師との関係、部活等の人間関係を含む問題と学業不振や校則、入学・転編入・進学時等の不適応問題です。
一方、家庭生活に起因が19.1%です。家庭生活に起因とは親子関係や家庭不和、転勤等にともなう生活環境の急激な変化が不登校のきっかけになったとするものです。
また、本人の問題に起因は35.0%です。
本人の問題というのは不登校の定義「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはできない状況にあたる年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由によるものを除いたもの」です。これと矛盾するのですが、病気による欠席やその他本人に関わる問題で、学校に行けない人をさします。
残りの数パ-セントは不明またはその他です。
臨床を長いことやって感じることとして、きっかけは「学校生活に起因」することが最も多く、それもクラスや部活・先生との対人、すなわち人間関係に関するものが非常に多いことです。この問題は不登校が長引くと、家庭でも、十分に理解されずに、家庭での人間関係を壊していくことになっていきます。そして、自責の念から「自分自身の心の問題」ではないかと思うようになっていくケースがほとんどです。いずれにせよ継続する不登校は原因が単一的ではなく、複合的であるということです。初期の段階で責任の所在をはっきりさせようとして、学校側は「家庭の問題」とし、家庭は「学校が原因」として、対立を深めることは余り感心できないだけでなく、本人の戻るべき学校という居場所を失うことにもなりかねません。また、自分自身を責め、自信を喪失し、自己肯定感が持てなくなり、陰性感情が強くなり、対人不信がますます強くなるという悪循環を生み出し、長期化の一途をたどっていきます。