不登校-その時、親はどう関わるか
I. 最近の不登校の実態は「大衆化」「低年齢化」「長期化」です
不登校は25年くらい前、大都市で多く、管理教育が強い地方で多かったのですが、最近は地域格差がほとんどなくなり、全国どこでも、どの学年でも、不登校に陥る傾向にあります。
一昔前の不登校の子どもを持つ家庭の多くは、父親が社会的地位の高い職業の人で生真面目な人が多く、職場で受けたストレスをそのまま家庭に持ち込み、また、母親はそんな夫を気遣い、子育てを母親一人で背負い込み、「お父さんならきっとこうするだろう。こう考えるだろう」と思い。一人で子育てをすると言う不安を抱えながらも、失敗があってはいけないと思い、先回りして子育てしていた人が多くいました。子どもはそんな両親に迷惑をかけてはいけないと、精一杯がんばっていましたが思春期に入って父親のストレス、母親の不安をまともに受け、それを自分自身で処理出来なくなって、不登校になるケースが非常に多かったのです。だから、父親の職業は学校の先生・銀行員・弁護士・公務員・開業医・大学の先生等が多かったです。しかし、今はどんな職業の人の子どももなるという大衆化が進んでいます。
低年齢化は平成に入ってから、不登校になる小学生の伸び率が高くなり、少子化が進み、母子密着や母子分離不安から小学1、2年生で不登校になる子どもが増えてきました。また、平成4年に文部省がどの子も不登校になる可能性があり、学校にもその要因があるとし、対応方法が登校刺激型対応から受容的対応に変化し「様子を見守りましょう」「心にエネルギ-が溜まるまで待ちましょう」というふうに学校現場では変化していきました。また、不登校状態でも、義務教育課程では、進級や卒業が出来るようになったことや少子化の影響で高校受験の壁が低くなったことなどが総合的に働いて、登校しなければならないという圧力が低下し、本人及び親に影響を及ぼし、気分的に楽になった分、問題を先に延ばしていく傾向が、不登校の長期化を招く1つの要因になっていきました。この長期化が累積的に重なり、児童・生徒の不登校の数を増やしていきました。このように最近の不登校の特徴は「大衆化」「低年齢化」「長期化」の三つと言えます。