コラム「つながり依存の今と昔」
2015年03月14日
NPO教育研究所 研究員 K.S.
背景
昔から小中高校生が学校のクラス内で特定の人たちと常に行動をすることは珍しくない。学校が終わり帰り道で別れるまで一緒に行動し、次の日は学校に来たら別れてからの話をすることはよく行われていた。
携帯端末の普及以前から行われていた行動が、インターネットの普及に伴い「別れる」という時間が無くなり常に繋がっている状態になった。常に連絡を取り合うことに時間と意識を割かれ、学習時間の減少や睡眠不足など生活・成長への影響が懸念されている。
認識
小中高校生の携帯端末(携帯電話、スマートフォン)の所有率は年々増加し、高校生のスマートフォン所有率は8割を超えている(*1)。彼らは、メールの送受信や動画コンテンツ、ゲーム、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などに使っている(*2)。
この中でSNSは主にコミュニケーションに利用されており、特にインスタントメッセンジャー(LINE、Twitterなど)はリアルタイム・コミュニケーションを提供している。これは発信と受信に時差が無く、また受信を見たことが相手に伝わる(LINEの「既読」マーク、など)。ここに問題が起こっている。
問題
図1(a)のように人はそれぞれの生活リズムを持っている。学校が終わり次の日の学校が始まるまでの間は、それぞれが自由に過ごし適切な睡眠時間を持つことができた。
図1 各自の睡眠時間への影響
しかし、SNSにより「学校の終わり」による別れが無くなり一緒にいる時間が続く。一緒にいるので会話(インスタントメッセンジャーやメールなどのやり取り)が続き、反応が気がかりになり集中する時間が確保できなくなる。そのため学習時間や睡眠時間が減少していき、成績や成長に問題が発生する。
だが、常に一緒にいるコミュニティから外れて行動することは大人でも難しい。小中高校生にとって学校が人生の全てであるため、大人が考えるより外れて行動することはできない。また、図2の調査結果のように本人たちも悩んでいるが止められない難しい問題である。
図2 止め時の難しさ
まとめ
付き合う友達同士で影響を軽減する方向に進むこと選択するしかない。大人や周りが助言しても決めるのは当人たちである。自然な流れで勉強や休息を始める雰囲気が生まれるようになれば良いと考える。
そのような意識を持つよう教育を施すことが重要である。
余談
上司や得意先の人などの誘いを私事で断るのは難しいでしょう。大人でも難しいのです。
参考文献
*1 : 内閣府, 平成25年度青少年のインターネット利用環境実態調査, http://www8.cao.go.jp/youth/youth-harm/chousa/h25/net-jittai/html/index.html
*2 : 総務省 情報通信政策研究所, 高校生のスマートフォン・アプリ利用とネット依存傾向に関する調査, http://www.soumu.go.jp/main_content/000302914.pdf