コラム「インターネット時代のコミュニティの違い」
2015年02月14日
NPO教育研究所 研究員 K.S.
インターネットは、誰でもアクセスでき、その情報は無条件に拡大していくというイメージがあるが、実はSNSなどの会員向けのコミュニティサイトでは違う。
例えば、学校や社会に存在する部活動・同好会・サークル等とSNSのコミュニティサイトの違いについて考察してみると、次のような違いがあった。
背景
個人がインターネットにアクセスする手段を持ち始めたころから、それぞれが属するコミュニティを外部から認識することが難しくなった。人間関係の難しさの本質は変わらないが、コミュニティ外の人間が内部の状況を知るすべがない点が大きく異なる。
認識
図1左の個人のコミュニティが身近な社会で構成されていると、交流するためには実際に集まる必要がある。一か所に人間が集まるために、移動行程や施設利用で外部の目につき、また会話などの音も外部に聞こえた。
しかし、図1右のようにインターネット上のコミュニティは身近な社会と関係なく地理的距離をゼロにする。また、交流するにはアクセスする端末だけで済むため、移動行程の必要もなく、交流場所もインターネット上のサービスで済む。このため、外部である身近な社会はインターネット上のコミュニティを認識することができない。また、プライバシーの観点からインターネット上のコミュニティは参加者以外が見ることはできない。
図1 インターネット時代のコミュニティの違い
問題
コミュニティ内部で問題が発生した場合、身近な社会のコミュニティは日常から外部の目にさらされているため、予兆や過程を外部の者が認識することが可能であり、また発生後に直接干渉するきっかけが作りやすい。しかし、インターネット上のコミュニティはコミュニティ外へ影響が出るまで誰も気づかない。また、気づいたとしても過程や予兆が把握できずに対処しなければならず、またコミュティ内へ直接干渉することはできない。
まとめ
第三者に干渉されないコミュニティを形成しやすい反面、問題が発生した場合はとめどなく深みにはまることもある。ある程度人間のできた面々であれば内部で解決できるが、そうでない場合は目を覆いたくなる結果になる。痛みを知らない年代では注意が必要なコミュニティ形成であると考える。
ネットいじめと現実社会でのいじめを考える時、この視点が前提にないと、いじめに対するそれぞれの対応方法を考えることができない。
ネット社会では、その特性から仲裁者が出来にくく、使い方によっては、事態がより深刻化することを利用者はあらかじめ知っておく必要がある。