民主党がいう「人」とは誰のこと…
NPO法人教育研究所 所長 牟田 武生
民主党の2009マニフェスト「国民の生活が第一」には、若者自立支援やひきこもり対策はない。 関連するのは、5雇用・経済の37「月額10万円の手当つき職業訓練制度により、求職者を支援します」だけ、失業者、求職者、無業者などの区分けはないので、当然、ニートの自立支援などはない。
http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2009/pdf/manifesto_2009.pdf
また、政策集2009には、労働の項目に「若者の雇用就労支援」があるが、派遣労働者や非正規労働者の支援として「住まいと仕事の確保法」を制定し、「住居がなく、安定した就職が難しい若者等に対して、ハローワーク・自治体・企業の連携のもと、カウンセリングや職業紹介、職業訓練、賃貸住宅への入居などを支援します」とある。まるでこの政策を読んでいると、昭和時代の雇用対策のようである。勿論、ここにも、ニートの「ニ」の字もない。
http://www.dpj.or.jp/policy/manifesto/seisaku2009/img/INDEX2009.pdf
民主党の社会認識そのものが時代遅れの感がある。新卒一括採用、企業研修を通して、社会人に成長し、終身雇用制が残っていた時代の雇用政策である。グローバル経済化の波に飲み込まれ「就職氷河期」になり、冷水を浴びている若者の置かれている状況の認識もない。好きでニートになった訳でもない若者の苦しみは感じられない。
また、2009マニフェストで「いじめや不登校」に関しても、2子育て・教育を見ても、何一つ、出てこない。子ども手当を代表とする票田獲得の「ばら撒き」ばかりである。
http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2009/pdf/manifesto_2009.pdf
政策集2009ではどうであろうか。関連するのは、文部科学にスクールカウンセラーおよびガイダンスカウンセラー制度の充実とある。その中に次のような文章がある「いじめや不登校などの問題、進学、職業選択などの進路については児童・生徒が相談できる仕組みを充実させる必要があります」とある。
http://www.dpj.or.jp/policy/manifesto/seisaku2009/img/INDEX2009.pdf
スクールカウンセラーが置かれ始めた平成4年頃からいじめは横ばい、不登校に至っては、全児童生徒数は減少しているのにかかわらず、小学生で1.5倍、中学生で2.0倍に達している。(学校基本調査より)深刻な問題なのである。
カウンセリングだけではどうにもならない現実がある。だから、社会問題なのである。さらに、不登校はひきこもり、ニートに関連するから、さらに深刻なのだ。でも、民主党にはその認識がなく、これからの日本の未来を背負う、子どもの社会問題を解決していこうという姿勢は全くみられない。
今回の選挙で、民主党に一票を投じた。私には残念で仕方がない。社会問題を解決してこそ「人を大切にする」の民主党なのではないか。