ニート・ひきこもり対策韓国では(2)

- MSN-Mainichi INTERACTIVE No.25 -

 「青少年問題とは何か」の質問を欧米諸国の青少年問題の専門家や研究者にすると、ほとんどの人が、「麻薬、覚醒剤、アルコール依存、暴力事件などの反社会的な問題だ」という答えが返ってくる。
 その点、日本では

  • 義務教育課程の不登校児童生徒数123,317人(2004年)発生率、小0.32%、中2.73%
  • 高等学校不登校生徒数      67,600人(2004年)発生率、高1.82%
  • 学年にまたがる不登校状態の継続率

 小学6年生、49.9%、中学3年生、65.8%と高く、学年があがるに従い不登校の継続が認められ、長期間のひきこもりに移行していく傾向がある。(データ文科省調べ) それに対して

  • 刑法犯少年、2004年 刑法犯少年134,847人、刑法犯少年の人口比(同年齢層の人口千人当たりの検挙人員をいう。)16.8で1.68%である。(デー タ警視庁調べ)

 ひきこもりをともなう不登校の場合は対人接触を極力控えることから「非社会的な行動」と考えられ、一方、刑法犯少年は「反社会的な行動」である。
 日本の青少年の問題は反社会的な問題行動よりもひきこもりなどの非社会的な問題の方が多く、これは最近の韓国でも同じような傾向にある。

 両国は欧米に比べ、同一民族が暮らし、社会階層がそれほど明確でなく、母親の愛情が細やかな日韓両国では、子どもが育ち上がるまで家族が内包し過ぎることが、ひきこもりの原因の一つになっている可能性がある。
 その点、欧米では小さい時から自立と自己責任が要求され、過度の自立要求が心理的な孤立を招き、親への反発としての非行事件を起こしたり、都市にたむろするヤングホームレスになって現れるのかもしれない。また、社会階層の問題によって生じる、希望した職業に就けない鬱積から、反社会的行動を起こすこともある。

 「昨年10月韓国青少年委員会とOECDが共同主催した『危機青少年・地域社会安全網構築』関連の国際シンポジウムで危機に陥っている青少年が韓国では170万人にも及ぶと発表された。この中で特に深刻な問題は本人自身が問題にぶつかるのではなく、家の中だけで生活し、問題を避けようとする、ひきこもり、就学中断、ネットゲーム中毒などの社会不適応青少年が多くいることだ。これらの回避型社会不適応青少年の内の多くはニート、フリーターのような青年失業者になるので至急に解決策が要求されている」と青少年委員会、委員長の崔英姫氏は主張する。
 韓国は受験競争が激しく。その過熱によって子どもの多くがストレスを抱え、身体症状から、就学中断(不登校)やひきこもり・ネットゲーム依存を生み出した。

文責 牟田武生