ニート・ひきこもり対策韓国では(1)
- MSN-Mainichi INTERACTIVE No.24 -
昨年の12月の初め、大統領直属の韓国青少年委員会と青少年相談院の招きで韓日国際シンポジウムに行って来た。
韓国でも、不登校、ひきこもり、ネット依存、ニートなどの問題は最近深刻になってきており、社会問題化してきた。昨年、はじめて、ひきこもりの実態調査が高校生を対象にサンプリング調査方式で行われた。その結果、推定で高校生の2.3%(日本、不登校の高校生67,600人、発生率1.82%、2004文部科学省調査)の2万5千人がひきこもり状態にあり、すばやい対応しなければならない状態にあった。また、7.1%がグレーゾーンの潜在群とも考えられそれを含めると、全体の約9.4%の高校生に対応の必要があることがわかってきた。
韓国ではひきこもりの概念として、
- 社会的接触が3ヶ月以上ないこと
- 友人がいない
- 社会的な活動をしない
- 自分の状況にイラ立ちを覚える
- 精神疾患でないこと
以上5つを基準にしている。ひきこもりの人の中にネット中毒(依存)と見られる人も多く、ひきこもったきっかけとして、
- めんどくさい
- 一人でいるほうが楽しい
- 学校生活からの回避
- 対人関係が上手くいかない
相談事例も変わってきている。以前の青少年の相談事例として、麻薬・覚せい剤、非行などの反社会的な問題が中心だったが、最近はひきこもりやネット中毒などの非社会的な問題が非常に多くなってきている。
1年以上も長い間、家にひきこもる深刻なケースも増え、親に経済的に依存し、ストレスを家庭内暴力家族で発散したり、不安が強くなり、ウツ病を発症させたり、自殺する事例も出てきている。
韓国政府は、早期対応、早期介入を原則として、政府と委員会や学校、民間の機能を有機的につなぎ、情報の共有化を図っていこうとしている。
そのための重点施策として
- 親に対する支援としてカウンセリングの充実
- ユース・コンパニオンを育て、家庭訪問を頻繁に行い自殺の防止を図る
- 『国立希望の家』を使い長期間の寮生活による治療(ひきこもり、ネット中毒)
- サイバー・スペース、インターネットによるメール相談などによる支援
- 人間力を育てるプログラムの開発などを掲げている。
また、ニートは2004年調査で労働人口1450万人のうち、121万人と定義は、日本とほとんど変わらないが、年々、増加傾向にあるという深刻な状況である。
韓国のデータの報告を聞いていると、しばしば、日本のことかと思うほど似かよっている。青少年の問題は両国にとって深刻な問題であり早期に解決しなければならない課題だ。
文責 牟田武生