出会い系で裸の写真を売った中2

- 不登校引きこもり Q&A 教育新聞連載 No.6 -

 中学校の生徒指導担当です。中2の女子のことです。その子は最近まで携帯電話の出会い系サイトで、自分の裸の写真を販売していました。分かったのは、写真を買った男から脅されて、数十万単位のお金を要求され、親に相談したことが発端でした。警察の協力もあり、その男性との関係は切れています。ただ、警察沙汰になった後、学校に来ることができなく、自宅からの外出も親同伴でないと難しいそうです。生徒指導担当として、本人と保護者にどのように関わったらよいのでしょうか。

 最近、ケータイ電話に係る中高生の問題行動が増えています。日本ではメデイアリテラシー教育がまったくといって良いほど、行われていない現状や1999年児童買春・児童ポルノ禁止法で製造や販売提供目的で禁じられましたが、盗撮写真がネット上で掲載され、それをコピーし保存し趣味で個人鑑賞しているといった行為に対し法規制はありません。

 インターネットで児童ポルノが何の規制になく自由に見られるのは日本とロシアだけです。そのために世界中から児童ポルノに対して日本政府は甘過ぎという声が上がっています。また、携帯電話を普及させるために以前0円や1円で携帯電話を業者が販売していた時期がありました。そして、日本の携帯電話は世界に稀に見ぬ位インターネットの接続が可能になっており、インターネットの端末の機能を兼ね備え、さらに、デジタルカメラの機能を持っています。

 写真を撮って気軽に友達にすぐ送る写メールが流行る原因になっています。諸外国の携帯電話のように、その機能を電話と簡単なメールだけにしぼるべきでした。アメリカでは、インターネットはパソコンでするのが普通です。パソコンは普通、家庭の居間に置かれ、家族の監視下に置かれているのでアメリカでは大きな問題にはなりませんでした。その点、インターネットに自由に繋げる日本型ケータイは、例え、判断力の未熟な児童生徒でも家庭では子ども自身が管理しています。

 この相談内容も正にそんな日本だけの現象中で起こった事件です。
 この事件も日本独特の事件といえます。少年法の関係上、中学2年生は13歳も14歳もいるから微妙な学年です。当該少女は自分のポルノ写真をケータイで撮影し、ネットで簡単な気持ちで販売していたのでしょう。本人には罪を犯した意識はなくても、児童買春・児童ポルノ禁止法の違法行為です。

 警察も介入しているので法律的な話はこれくらいにとどめますが、生徒指導上では、「学校に行きたくても、不安や緊張のために行かれない」情緒混乱型の不登校への対応と一線を画すべきです。このような自ら招いた違法行為からの恐喝事件の場合、本人の矯正教育だけでなく、保護者の教育も同時に行いながら、社会復帰(復学)の準備をしなくてはなりません。

 そのために学校側が考えなくてはならないことは、警察との連携や送検された場合は児童相談所との連携が必要になってきます。また、事件が事件だけに、本人及び家族のプライバシーを守るために守秘義務の厳守が求められます。本人が行ったポルノ写真は警察への告発の時点で削除されていると思いますが、ネット上で彼女がポルノ写真を販売していたことを知っていたり、ポルノ写真を見たり、保存している級友がいないか、他の生徒に気づかれないようにブロバイダー等をとおして情報を調べる必要がありますが、生徒間で騒ぎが大きくなっていなければ、普通は問題がありません。

 問題がない場合、生徒指導担当は本人及び保護者に対して、二度と同じような事件を起こさぬように指導をする必要があります。また、この一連の事件から本人に心の傷が起き外出ができない行動から考えてPTSD(外傷後のストレス障害)が起きている可能性があります。そのような場合はスクールカウンセラーがカウンセリングを行う必要があります。このような事件を伴う問題行動は生徒指導担当だけが問題を背負い込むのではなく、関係機関の専門的な連携が重要になります。

平成22(2010)年11月8日(月曜日)教育新聞掲載 文責 牟田武生