行政刷新会議「事業仕分け」若者自立塾廃止に関して

行政刷新会議「事業仕分け」

第2WG 評価コメント

評価者のコメント

事業番号2-7若者自立塾(若者職業的自立支援推進事業)

●事業の有効性(費用対効果)、自己負担のあり方も含めて一旦廃止をして、再検討すべき。

NPO教育研究所 宇奈月若者自立塾 主宰 牟田武生意見

  • 福祉、教育、若者支援、雇用問題、文化遺産等の問題は、短期間が主の経済的指針では、その価値や効果は測定できない。これらの事柄に関しては別のスケールが必要である。
  • 若者自立塾の場合は成果主義を取っており、月約9万円の労働訓練費は実績に応じて支払われている。19年度の予定者数1,200人のところ、実績450人分の残り750人分は日本生産性本部を通して、国に返還されているので費用対効果の論議は有効性がない。

●平成17年度開始以来5年が経過。ニート対策の重要性は十分共感できるが、この事業については、一度廃止しやり方を変えたほうがよい。  

結論に到る論拠不明。コメントを述べた人は誰だかわからないが、国会議員や有識者としての資格ないと思う。

●若者自立塾はコストに対して成果が小さすぎる。(財)日本生産性本部に丸投げで事業委託する・必要性は疑問。当事業は一度廃止して、ニート対策の総合的効果的な施策を検討すべき。  

成果(費用対効果だと思うが)に関しては前述

日本生産性本部の選考は一般競争入札で行われた。4年間は厚生労働省の指導が常にあったので丸投げをしていたとは自立塾側からは見えない。

ニート対策の総合的効果的な施策に関して、

平成20年12月から実施されている青少年大綱及び平成21年6月に法案として成立、平成22年4月施行予定「子ども・若者育成支援推進法」がある。 「ワーキングプアー」という言葉の生みの親でもあり、教育、若年雇用問題の第1人者宮本みちこ教授(放送大学教授)の努力によって、この案件は生み出された。自立塾も一部、その中心的な役割を担う筈であった。

社会的状況や社会資源から考えて、これ以上の施策案件は現在のところない。当時、民主党も積極的な賛同を得られたものであった。もし、あるならこのコメントを出した議員または有識者は代案をすみやかにご提出願いたい。  

●少なくとも入塾者や卒塾者に関する情報や効果についてもっときちんと把握すべきである。

全ての若者自立塾は報告義務として、入塾者の入塾の経緯を含め、家族構成、生育歴、学歴、職歴、病歴(発達障害や精神疾患を含む)等、詳しく報告している。 卒塾者に関しても1年間は追跡調査を行い。日本生産性本部に報告している。  

●600 人/64 万人<0.1%では問題に対する施策になっていない。自治体・民間に任せるべき。自治体を通じてNPOにやってもらうべき。

●地域の産業や教育事情をよく知っている地方に基本的には運営を任せるべき。国は地方のモニタリングに徹するか、地方に予算を付けて任せてしまったほうがよいのではないか。  

上記の意見はよく理解できないが、同じものだと考えられる。国ではなく、民間や地方公共団体のほうが、細かい情報入るので、それらに任せれば、解決するのではという意見であると推測する。

しかし、この問題は、不登校からひきこもりが始まり、ニートに移行していく過程がある。若者自立塾を利用した若者は不登校や発達障害を抱え、ひきこもり社会参加ができなかった層である。若者自立塾を利用した者の50%、若者サポートステーション30%が不登校経験者であった。(日本生産性本部平成19年3月調査)

この層の者は、非常に多くの様々な問題を抱え、社会参加ができないゆえ、長期間解決ができないでいる社会問題なのである。それ故、国が施策でできないことが、地方やNPOで出来るわけがない。 ひきこもりから塾への誘導は、個人情報保護や人権問題、扶養に関する親子の認識のズレのなどの問題があり、NPOや地方自治体が独自で行う案件ではないと考えられる。それゆえ、今日の日本の社会問題なのである。委員らの、この問題に関して認識が甘いといえる。  

前述

●日本生産性本部の手数料が過大である。お金が先で、事業が後付けになっていないか。

日本生産性本部は手数料を取っていない。委託費のみ、それも問題になった年は年間3400万円。 専従者が3人、全国から来る塾実施者全体会議の交通費、新任者研修、応募活動費、パンフレット代などから、考えても、手数料などはでない。もっと、予算があれば、情宣活動に使え、参加者も多かったはずである。

●効果の検証が出来ていない。効果がありニーズがあるなら拡大もありうるが、対象者数と到達目標 がないところで、予算などとれるものではない。日本生産性本部を通さなくても直接NPOで対応で きる。

毎年、対象者数の目標はあった。到達目標の職業的自立は7割であった。 卒塾から6カ月の就労・就学率は63.3%、それに比し、若者サポートステーションは28%程度(登録者)平成19年3月である。若者自立塾は最困難なニートに対応し、これだけの数値をあげられたのは、他の機関と違い、ニートの人が不足している、コミュニケーションスキルとソーシャルスキルの二つを生活を通して身についたといえる。

●国で見えない形でする事業ではなく、ニートを利権のタネにするものを見逃してはならない。  

国が見えない形という表現は抽象的な言い方である。 若者自立塾は塾生の個人のプライバシー以外は全てオープンにしている。むしろ、厚労省以外は見ようとしなかったのではないのか。また、誰がニートの利権を得たものか、このようなことを言う以上、はっきりと根拠を示してほしい。  

WGの評価結果

若者自立塾(若者職業的自立支援推進事業) 廃 止 (廃止 5名 自治体/民間 4名 予算計上見送り 0名 予算要求縮減:a 半額 0名 b 1/3 程度縮減 2名 c その他 1名)

とりまとめコメント

平成17 年から5 年が経過しているが、効果の検証や実績把握がきっちりと把握できていないので、やり方を含め、一旦廃止して徹底的に見直すべき。

私見としては

  • まず、447事業所を選んだ根拠を明確にしてほしい。
  • 不思議なことに、もっとも、無駄が多い財務省及び関連機関がない。
  • 民主党は「官僚による政治から、政治家による政治」というスローガンを打ち出しているが、官僚の中の官僚である財務省にメスが入らないのはなぜか? そして、「廃止の基準」が明確でない。
  • 天下り先でもない。
  • 費用対効果の事業ではない。
  • 縦割り行政の弊害として、他省庁と重なる事業はない。(無駄な予算が使われていない) のに、「なぜ」と疑問が残る。
  • ぜひ、担当した国会議員や民間有識者の方はコメントした人の名を公開し、私の意見に対して。公開の原則なら、インターネットを通して、私の意見に答え、公開して欲しい。 それでないと、国民の同意は得られないと思う。